2026.01.25
「朝、食欲がない」を放置しない。朝食を味方につける体づくり
働く人と食の健康
朝、目覚めても食欲がわかない。とりあえずコーヒーだけ飲んで家を出る。そんな朝が続いている方も多いのではないでしょうか。
「朝は食べなくても平気」「昼までもつから大丈夫」と思っていても、午前中の集中力が続かなかったり、昼前に強い空腹を感じたりしていませんか。それは、朝食を抜いている影響かもしれません。
この記事では、管理栄養士の視点から、朝食が体に与える影響と、忙しい朝でも無理なく続けられる食事のヒントをご紹介します。
朝食は体内時計を整えるスイッチになる
私たちの体には「体内時計」が備わっています。睡眠と覚醒、ホルモン分泌、代謝のリズムなど、さまざまな機能がこの時計によってコントロールされています。
体内時計を整える方法として知られているのは「朝の光を浴びること」ですが、実は朝食も重要なスイッチのひとつです。朝に食事を摂ることで、内臓の体内時計がリセットされ、1日の代謝リズムが整いやすくなります(※1)。
逆に、朝食を抜く生活が続くと、体内時計がずれやすくなり、日中のパフォーマンスや夜の睡眠の質にも影響が出ることがあります。
朝食を抜くと午前中に何が起きるか
朝食を抜いたまま活動を始めると、体はエネルギー不足の状態でスタートすることになります。
脳のエネルギー源は主にブドウ糖です。朝食を摂らないと血糖値が低いまま午前中を過ごすことになり、集中力や判断力が落ちやすくなります。「午前中はなんとなくぼんやりする」「会議で頭が回らない」と感じる方は、朝食を見直してみる価値があるかもしれません。
また、朝食を抜くと昼食で一気に食べてしまいがちです。空腹状態で大量に食べると血糖値が急上昇し、その後急降下する「血糖値スパイク」を招きやすくなります。これが午後の眠気やだるさにつながることも。
長期的には、朝食欠食が肥満や脳卒中のリスクを高めるという報告もあります(※2)。
「食べられない朝」には理由がある
「朝食が大事なのはわかっているけど、食べられない」という方も多いでしょう。その場合、まず「なぜ食べられないのか」を振り返ってみることが大切です。
夜遅い食事や夜食の習慣があると、朝起きたときに胃がもたれていて食欲がわきにくくなります。夕食の時間が遅くなりがちな方は、量を軽めにする、消化の良いものを選ぶといった工夫が有効です。
睡眠の質や量も関係します。睡眠不足が続くと自律神経のバランスが乱れ、朝の食欲が低下しやすくなります。
つまり、朝食を食べられるようにするには、前日の夜の過ごし方から見直す必要があることも少なくありません。
朝食に必要なのは「完璧な一食」ではない
朝食というと、ごはんに味噌汁、焼き魚に卵焼き…といった「きちんとした和定食」をイメージするかもしれません。でも、忙しい朝にそれを毎日用意するのは現実的ではないですよね。
管理栄養士の立場からお伝えしたいのは、朝食は「完璧」でなくていいということ。
最低限意識したいのは、たんぱく質と糖質を摂ること。たんぱく質は体温を上げて代謝を活性化させ、糖質は脳と体のエネルギー源になります。この2つが揃っていれば、量は少なくても朝食としての役割を果たせます。
まずは「何かを口にする習慣」をつくることが第一歩。いきなり完璧を目指すより、小さく始めて続けることが大切です。
忙しい朝でも取り入れやすい朝食アイデア
時間がない朝でも取り入れやすい組み合わせをいくつかご紹介します。
◎ヨーグルト+バナナ+ナッツ
たんぱく質、糖質、良質な脂質がバランスよく摂れます。切る手間もなく、食欲がない朝でも食べやすい組み合わせです。
◎ゆで卵+おにぎり
前夜にゆで卵を作っておけば、朝は冷蔵庫から出すだけ。コンビニで揃えることもできます。
◎豆乳や牛乳+シリアル
噛む元気がない朝は、飲み物からたんぱく質を摂るのも手です。甘さ控えめのシリアルやオートミールを合わせれば、糖質と食物繊維も補えます。
◎オーバーナイトオーツ
前夜にオートミールをヨーグルトや牛乳に浸しておくだけ。朝は冷蔵庫から出してそのまま食べられます。フルーツやナッツを加えると満足感もアップ。
◎「食べられない日」の最低ライン
どうしても食べられない日は、温かい豆乳やホットミルクを一杯飲むだけでも違います。「何も口にしない」よりは、胃腸を動かすきっかけになります。
朝食を習慣にするためのコツ
朝食を習慣にするには、無理のない形で体を慣らしていくことが大切です。
◎起床直後ではなく、少し時間を空けてから食べる
起きてすぐは胃腸がまだ目覚めていないことも。身支度を済ませてから食べる、出勤後にオフィスで食べるなど、自分に合うタイミングを探してみてください。
◎夕食の時間を少し早める
夜遅い食事が続いている場合、30分でも早く食べる意識を持つだけで、翌朝の食欲が変わることがあります。
◎まずは週末から試してみる
平日は時間がなくても、休日なら少し余裕があるはず。週末に朝食を食べる習慣をつけてから、平日に広げていくのもひとつの方法です。
朝食は、午前中の自分を助ける味方
朝食は「食べなければいけない義務」ではありません。でも、朝に何かを口にすることで、体内時計が整い、午前中のパフォーマンスが上がり、一日の食事リズムが安定しやすくなります。
完璧な朝食を用意する必要はありません。ヨーグルトひとつ、バナナ一本からでも大丈夫。
まずは明日の朝、何かひとつ口にすることから始めてみませんか。
参考
- (※1)Longo VD, Panda S. “Fasting, Circadian Rhythms, and Time-Restricted Feeding in Healthy Lifespan”, Cell Metabolism, 2016
- (※2)Kubota Y. et al., “Association of Breakfast Intake With Incident Stroke and Coronary Heart Disease: The Japan Public Health Center-Based Study”, Stroke, 2016
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