2025.10.11
緑茶の健康効果を引き出す飲み方。毎日続けるためのちょうどいい習慣
働く人と食の健康
仕事の合間にほっと一息。食後にすっきりしたいとき。緑茶は、日本人にとって最も身近な飲み物のひとつですよね。
「なんとなく体に良さそう」というイメージはあるものの、具体的にどんな成分が、どう体に働きかけているのかはあまり意識されていないかもしれません。
実は、緑茶にはカテキンやテアニンなど、体を整える成分が豊富に含まれています。一方で、カフェインの存在もあり、飲む量やタイミングには少しだけ気を配りたいところ。
ここでは、管理栄養士の視点から、緑茶の健康効果と「ちょうどいい飲み方」をまとめました。
緑茶に含まれる3つの成分と、それぞれの役割
緑茶の健康効果を語るうえで欠かせないのが、カテキン、テアニン、カフェインの3つです。
それぞれの特徴を、もう少し噛み砕いて見ていきましょう。
カテキンは体のさび止め役
カテキンは、ポリフェノールの一種。強い抗酸化作用を持ち、細胞の酸化(いわゆる“さびつき”)を防いでくれます。
さらに、脂質や糖の吸収をゆるやかにする働きも確認されており、食後に飲むと血糖値やコレステロールの急上昇を抑える効果が期待できます。
緑茶の渋みの正体がこのカテキン。苦みが強いほど含有量が多い傾向にあります。
テアニンは心を落ち着かせるやすらぎ成分
テアニンは、緑茶特有のうま味を生み出すアミノ酸です。
脳のα波を増やし、リラックスや集中力のアップを助けてくれます。コーヒーのような強い刺激がなく、「穏やかに頭が冴える」感覚を得やすいのは、このテアニンのおかげです。
玉露や高級煎茶など、うま味の強いお茶にはテアニンが豊富に含まれています。
カフェインは使い方次第の成分
カフェインには、眠気を覚まし、頭をすっきりさせる働きがあります。朝の目覚めや、仕事中の切り替えにはありがたい存在です。
ただし、摂りすぎると不眠や動悸、胃の不快感につながることも。体調や時間帯に応じて量を調整することが大切です。
緑茶が体に届ける5つのはたらき
何気なく飲んでいる一杯が、実は体のあちこちで静かに力を発揮しています。ここからは、緑茶がもたらす5つの健康効果を見ていきましょう。
1. 生活習慣病のリスクを下げる
カテキンが血中脂質の酸化を抑え、動脈硬化や糖尿病のリスクを下げるといわれています。東北大学と同志社大学の共同研究では、緑茶に含まれるEGCG(エピガロカテキンガレート)がインスリンの働きを助けることが明らかになりました(※1)。
とくに食後は血糖値が上がりやすいタイミング。このときに緑茶を一杯添えるだけで、血糖値の急上昇をゆるやかにする効果が期待できます。
2. 免疫力を底上げする
カテキンには、風邪やインフルエンザの原因となるウイルスを不活化する作用が報告されています。奈良県立医科大学の研究では、緑茶を新型コロナウイルスに30分間接触させたところ、99%以上のウイルスが不活化されたという結果が得られています(※2)。
季節の変わり目や、疲れがたまっているときこそ、緑茶の出番です。
3. ダイエットをサポートする
食後の脂質吸収を抑え、脂肪の分解を助ける作用が期待されています。花王の臨床試験では、高濃度茶カテキン(588mg/日)を12週間継続摂取することで、内臓脂肪面積が約9cm²減少したという結果が報告されています(※3)。
甘いジュースやカフェラテを緑茶に置き換えるだけでも、1日の摂取カロリーを自然に減らせます。無理な我慢なく続けられるのがポイントです。
4. 肌と体の老化をゆるやかにする
ビタミンCやカテキンが、紫外線ダメージや酸化ストレスを軽減してくれます。
肌のハリを保ち、体の老化スピードをゆるやかにする。緑茶は、内側からのアンチエイジングを助けてくれる存在です。
5. リラックスと集中を両立させる
テアニンとカフェインの相互作用により、「穏やかに冴える」感覚を生み出します。太陽化学の研究では、テアニンを50mg摂取した約40〜50分後にリラックス状態を示すα波が増加したことが確認されています(※4)。
コーヒーのように神経が過敏になりにくく、仕事や勉強前の一杯にぴったり。落ち着きながらも頭がクリアになる、その絶妙なバランスが緑茶の魅力です。
飲むタイミングで変わる効果の引き出し方
緑茶は、飲むタイミングによって感じられる効果が少しずつ変わります。時間帯に合わせて選ぶと、より心地よく取り入れられます。
◎朝食後
カフェインで頭がすっきり。集中モードへの切り替えがスムーズになります。
◎昼食後
脂質や糖の吸収を抑えつつ、午後の眠気を防ぐのに役立ちます。
◎夕方以降
カフェインが気になる時間帯。ほうじ茶や番茶、カフェインレス茶に切り替えて、リラックスタイムにするのがおすすめです。
就寝前に飲みたいときは、カフェインの少ない番茶や玄米茶を選ぶと、睡眠への影響を抑えられます。
飲みすぎに注意したい、緑茶の適量ガイド
体に良いとはいえ、緑茶も飲みすぎには注意が必要です。緑茶に含まれるカフェイン量は種類によって大きく異なり、摂りすぎると不眠や胃の不快感を招くこともあります。
成人の1日あたりのカフェイン摂取量の目安は、およそ400mgまでとされています(※5)。これは、コーヒーで約3杯分、緑茶ならおよそ8〜10杯分にあたります。
以下を目安に、体調や生活リズムに合わせて楽しみましょう。
◎煎茶(100mLあたり約20mg)
1日3〜5杯(600〜800mL)が目安。食後や仕事前におすすめです。
◎玉露(100mLあたり約160mg)
1日1杯までに留めたいところ。特別なリラックスタイムに味わうのにぴったりです。
◎ほうじ茶・番茶(100mLあたり5〜10mg)
カフェインが少ないため制限はほぼなし。夜のリラックスタイムに最適です。
◎抹茶(1杯=2g換算で約30mg)
1日2〜3杯まで。香りと風味を楽しむひとときに。
妊娠中・授乳中の方や、カフェインに敏感な方は、1日200mg以下(煎茶で約4杯程度)を目安にしましょう。どうしてももう一杯飲みたいときは、カフェインレスの緑茶や麦茶に置き換えるのもおすすめです。
毎日続けるための、ちょうどいい飲み方
健康のために続けるなら、無理なく楽しめることが大切です。
淹れたての香りを味わうのも、続けるコツのひとつ。湯温を70〜80℃にすると、渋みが控えめでうま味が引き立ちます。熱湯をそのまま注ぐより、少し冷ましてから淹れるだけで、味わいがぐっとまろやかになります。
ながら飲みを避けることも意識してみてください。食事や間食のタイミングを決め、目的に合わせた一杯を。「なんとなく口にする」よりも、「このタイミングで飲む」と決めておくと、飲みすぎを防ぎやすくなります。
冷茶もおすすめです。水出しで淹れるとカフェインの抽出が抑えられ、夏場の水分補給にもぴったり。すっきりした味わいで、ゴクゴク飲みやすいのも魅力です。
今日の一杯が、体を整える小さな習慣に
緑茶は、日本人にとって当たり前すぎるほど身近な飲み物です。だからこそ、その価値を見落としがちかもしれません。
カテキンが体のさびつきを防ぎ、テアニンが心を落ち着かせ、カフェインが頭をすっきりさせてくれる。この3つの成分が、毎日の体調を静かに整えてくれています。
まずは、1日3〜5杯を目安に、体と心を整える小さな習慣を始めてみませんか。
朝の一杯で頭を切り替え、昼の一杯で午後の眠気を防ぎ、夕方以降はほうじ茶でリラックス。そんな「時間帯に合わせた使い分け」ができるようになると、緑茶がもっと心強い味方になってくれるはずです。
参考
- (※1)東北大学・同志社大学 共同研究「緑茶に含まれるEGCgが、インスリンの分泌を抑制し効果を弱める悪玉タンパク質を低下する」Nucleic Acids Research, 2021
- (※2)奈良県立医科大学「お茶による新型コロナウイルスの不活化効果について」2020年11月発表
- (※3)土田隆ら「高濃度茶カテキンの体脂肪低減効果」Prog.Med., 22, 2189-2203, 2002
- (※4)太陽化学株式会社「L-テアニンのリラックス効果に関する研究」
- (※5)厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
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この記事の監修者
管理栄養士・料理家
ひろのさおり
お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。