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2025.10.04

中性脂肪を下げたい人へ。見直すべきは油よりも糖質とお酒

働く人と食の健康

中性脂肪を下げたい人へ。見直すべきは油よりも糖質とお酒

健康診断の結果を手に、「中性脂肪が高め」の文字にドキッとした経験はありませんか。揚げ物を減らさなきゃ、脂っこいものを控えなきゃ──そう考えて、好きな唐揚げやとんかつを我慢している方も多いかもしれません。

でも実は、中性脂肪を押し上げている本当の原因は、油そのものよりも「余った糖質」と「お酒の飲みすぎ」であることが少なくありません。

ここでは、中性脂肪が増える仕組みから、今日から取り入れやすい食事の工夫まで、管理栄養士の視点でわかりやすくお伝えします。

そもそも中性脂肪はなぜ増える?

中性脂肪は、体にエネルギーを蓄えるために肝臓で作られる脂質です。いわば“エネルギーの貯金”のようなもので、本来は体にとって必要な存在です。

問題になるのは、摂取エネルギーが消費を上回ったとき。食事から入ってきたエネルギーのうち、使い切れなかった分が中性脂肪として蓄えられ、血中の数値を押し上げていきます。

特に注意したいのが、次の3つの習慣です。

まず、糖質の摂りすぎは、中性脂肪上昇の大きな要因です。ごはんやパン、麺類などの主食が多い食事、甘いお菓子やジュースが習慣になっていると、余った糖質が肝臓で脂肪に変換されてしまいます。

また、アルコールの飲みすぎも見逃せません。お酒は肝臓で分解される際、脂肪の合成を促す方向に働きます。「少量なら大丈夫」と思いがちですが、毎日の習慣になっていると、じわじわと数値に表れてきます。

そして意外と見落としがちなのが総カロリーのオーバーです。たとえ良質な油であっても、摂りすぎればエネルギー過多となり、結局は脂肪として蓄積されます。

つまり、「脂を抜けばいい」という単純な話ではなく、糖質・アルコール・総エネルギーのバランスを整えることが、中性脂肪改善の第一歩なのです。

食事で整える3つの基本アプローチ

では、具体的にどう食事を見直せばよいのでしょうか。ポイントは3つあります。

1. 主食に偏らない食事を心がける

丼もの、麺類、菓子パン。忙しい日々の中で、つい手が伸びやすいメニューですよね。ただ、これらは糖質中心になりやすく、中性脂肪を上げやすいパターンの代表格です。

おすすめは、ご飯・主菜・副菜がそろった定食スタイルに切り替えること。主食の量が自然と抑えられ、たんぱく質や野菜もバランスよく摂れます。

外食でも「丼より定食」「単品の麺より定食セット」を意識するだけで、糖質量はぐっと変わってきます。

2. 飲み物の糖分を見直す

ジュース、カフェラテ、スポーツドリンク。喉が渇いたときに何気なく手に取る飲み物にも、想像以上の糖分が含まれています。

液体の糖分は吸収が早く、血糖値を急上昇させやすいのが特徴です。その結果、使い切れなかった糖が中性脂肪に変わりやすくなります。

まずは無糖のお茶や炭酸水にチェンジすることから始めてみませんか。“飲むカロリーをゼロにする”という意識を持つだけで、見えない糖質摂取を大きく減らせます。

3. お酒は量と頻度でコントロールする

お酒好きの方にとって、「禁酒」はハードルが高いですよね。完全にやめる必要はありません。大切なのは、量と頻度を意識することです。

特に糖質を含むビールや日本酒は、週2回程度、1回あたり中瓶1本または1合を目安に。焼酎やハイボールなどの蒸留酒を炭酸水で薄めて楽しむのも、糖質を抑える工夫のひとつです。

「毎日の晩酌」から「週末のごほうび」へ。少しシフトするだけでも、肝臓への負担は軽くなり、中性脂肪の数値にも変化が表れやすくなります。

シーン別に実践できる選び方のコツ

ここからは、日常のさまざまな場面で取り入れやすい工夫をご紹介します。

コンビニで選ぶとき

おにぎり単品で済ませてしまいがちなランチも、少し組み合わせを変えるだけでバランスが整います。

たとえば、おにぎり+サラダチキン+野菜スープの組み合わせ。主食+たんぱく質+野菜がそろい、糖質に偏りにくい構成になります。菓子パンや甘い飲み物は、ときどきのごほうびにとどめておくのがおすすめです。

外食で選ぶとき

外食では、やはり定食スタイルが強い味方です。お店で「ご飯少なめ」「野菜多め」と伝えられる場面では、遠慮なくお願いしてみましょう。

ラーメンや丼ものが食べたいときは、翌日を魚料理や豆腐料理でリセットするなど、1週間単位でバランスをとる意識を持つと、我慢しすぎずに続けられます。

家飲みで気をつけること

休肝日を週3日つくるだけでも、体への影響は大きく変わります。

おつまみは、枝豆、冷奴、焼き魚、野菜スティックなど、たんぱく質と食物繊維を意識した噛みごたえのあるものを選ぶと、お酒の量も自然とセーブしやすくなります。

適正なエネルギー量の目安を知っておく

中性脂肪を改善するには、摂取と消費のバランスを整えることが基本です。自分に合ったエネルギー量の目安を知っておくと、食事の調整がしやすくなります。

1日の摂取エネルギーの目安は、おおまかに次の計算で求められます。

適正体重(kg)× 25〜30 kcal

適正体重は「身長(m)× 身長(m)× 22」で算出します。たとえば身長160cmの方なら、適正体重は約56kg。1日の目安摂取量は1,400〜1,700kcal程度となります。

活動量が多い方は上限寄りで考えてOKです。「減らす」より「整える」という意識で取り組むと、無理なく続けられます。

無理なく続けるためのヒント

中性脂肪の改善は、短期間の食事制限よりも、続けられる習慣に変えていくことがカギです。

朝食では、ごはん+焼き魚+味噌汁+果物といった和定食スタイルで血糖値の安定を意識してみましょう。昼食は主菜・副菜をそろえた定食を基本に、丼や麺類は週1回程度に。

間食がほしいときは、ナッツやチーズ、野菜スティックなど、噛みごたえのあるものを選ぶと満足感が得られやすくなります。夕食では主食を半量に抑え、アルコールは週2回までを目安に。

そして、食事だけでなく1日プラス5,000歩のウォーキングも効果的です。エネルギー消費が増えることで、代謝の土台が整いやすくなります。

「やめる」より「置き換える」「選び方を変える」。この発想で取り組むと、ストレスなく続けられます。変化を実感できるのは1〜3か月後。焦らず、長く続けることが最大の近道です。

頑張る食事制限より、整える生活習慣へ

中性脂肪の改善は、厳しい我慢を続けることではありません。大切なのは、日々の小さな選択を少しずつ変えていくことです。

糖質とお酒を上手にコントロールし、バランスのとれた食事を心がける。それだけで、血液の状態は少しずつ軽やかに変わっていきます。

今日の一食から、“少し引く・少し置き換える”を意識してみませんか。体のサインが、きっと次の健診で応えてくれるはずです。

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この記事の監修者

管理栄養士・料理家

ひろのさおり

お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。