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2025.09.18

ラップの素材でここまで差が出る!用途に合わせた賢い使い分け術

調理と保存のコツ

ラップの素材でここまで差が出る!用途に合わせた賢い使い分け術

カレーを保存したはずなのに、翌日冷蔵庫を開けたらにおいが充満していた。電子レンジで温めたら、ラップが縮んで食品にくっついてしまった——そんな経験はありませんか?

日々の料理で何気なく使っているラップですが、実は素材によって性能が大きく異なります。密着力、におい移りの防止力、電子レンジへの対応力。これらは「なんとなく選んだ1枚」で済ませてしまうと、思わぬトラブルにつながることも。

この記事では、家庭でよく使われる3種類のラップ素材の違いと、用途に合わせた選び方を管理栄養士の視点でやさしく解説します。

ラップで起きるトラブル、原因は「素材選び」にあるかもしれません

ラップにまつわる小さなストレスは、意外と日常に潜んでいます。

「においの強い料理を包んだら、冷蔵庫全体ににおいが広がってしまった」「野菜を包んでおいたのに、数日でしなしなになった」「電子レンジで加熱したら、ラップが溶けて料理に張り付いた」——こうした経験があるなら、それは素材の特性と用途が合っていないことが原因かもしれません。

ラップはすべて同じように見えますが、素材によって得意なこと・苦手なことがはっきりしています。特性を知っておくだけで、保存の質も調理のしやすさも、ぐっと変わってきます。

家庭でよく使う3種類のラップ素材を知っておこう

家庭用ラップの素材は、主に3種類に分かれます。それぞれの特徴を押さえておくと、「どんな場面でどのラップを使うか」が自然と見えてきます。

ポリ塩化ビニリデン(PVDC)は迷ったときの万能選手

3種類の中でもっとも高機能なのが、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)です。酸素や水分、においをほとんど通さず、密着力も高いのが特徴。冷凍保存から電子レンジ加熱まで幅広く対応できるため、迷ったらこれを選んでおけば間違いありません

カレーやキムチなど香りの強い料理の保存、肉や魚の冷凍保存(酸化・乾燥を防ぐ)、レンジ加熱時のはね防止など、さまざまな場面で活躍します。やや価格は高めですが、その分の安心感があります。

ポリエチレン(PE)は野菜や果物にやさしい通気タイプ

ポリエチレン(PE)は、手頃な価格で手に入りやすいラップです。ただし、酸素や水分を通しやすく、密着性もやや控えめ。「しっかり密閉したい」という場面には向きません。

一方で、野菜や果物のように呼吸が必要な食材には相性がよいのがこのタイプ。レタスやカットりんごの短期保存、サンドイッチの持ち運びなどに向いています。電子レンジ不可の製品も多いため、パッケージの表示を必ず確認してから使いましょう。

塩化ビニル樹脂(PVC)は見た目を美しく仕上げたいときに

塩化ビニル樹脂(PVC)は、伸びがよく器にぴたっとフィットしやすいのが特徴です。透明度が高いため、中身をきれいに見せたいときに重宝します。

スープや煮物のふた代わり、トレー入りの精肉の再包装、料理撮影や陳列など、見栄えを重視したい場面で活躍します。ただし、ガスバリア性(においや酸素を遮断する力)はPVDCに比べると弱いため、冷凍保存や長期保存には不向きです。

用途別に選ぶラップ素材の使い分け

ラップを1種類で済ませていると、におい移り、乾燥、ラップの破れといった小さなストレスが積み重なりがちです。料理の性質に合わせて素材を使い分けるだけで、保存の効率も日々の快適さもぐんとアップします。

たとえば、油の多い料理はPVDCでしっかり密閉すると酸化やにおい漏れを防げます。カットフルーツはPEでふんわり包めば、呼吸を妨げず乾燥も抑えられます。出汁の多い器にはPVCでぴたっとカバーすると、ラップが浮かず液漏れも防止できます。

以下の早見表を参考に、よく使うシーンごとに最適な素材を見直してみてください。

用途おすすめ素材理由
においの強い料理の保存PVDCにおい・酸素を遮断し、劣化や移り香を防ぐ
野菜や果物の一時保存PE呼吸を妨げず、みずみずしさをキープ
鍋や器のふた代わりPVC密着性が高く、見た目も中身も確認しやすい
冷凍保存全般PVDC水分の蒸発を防ぎ、乾燥・ドリップの発生を抑える
電子レンジ加熱PVDC耐熱性が高く、加熱時も安心・安全に使える(耐熱表示を確認)

「なんとなく」で選んでいたラップも、ちょっとした知識と工夫で食品を守る心強い味方に変わります。買い置きの1本に加えて、シーンに応じた素材を揃えておくのが、これからの賢いキッチン習慣です。

ラップを使うときに知っておきたい注意点

便利なラップですが、使い方を誤ると思わぬトラブルにつながることもあります。安全に使うために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

まず、電子レンジで使う場合は、必ず耐熱温度を確認すること。素材によっては加熱に適さないものもあります。一般的にPVDCは耐熱温度が140℃前後、PEは110℃前後とされており、高温になりやすい油分の多い料理では差が出やすいポイントです。パッケージに「電子レンジ使用可」の表示があるかどうか、購入時にチェックしておくと安心です。

また、油分の多い料理を加熱するときは、ラップが溶けやすくなることがあります。揚げ物やバター炒めなどを温める際は、ふんわりとかけて蒸気の逃げ道を作るか、耐熱性の高い素材を選ぶとよいでしょう。食品にラップが直接触れないよう、少し余裕を持たせてかけるのもコツです。

冷凍保存では、食品をラップで包んだあと、さらにフリーザーバッグに入れると、乾燥や冷凍焼けをより防ぎやすくなります。ラップだけで長期間保存すると、どうしても水分が抜けやすくなるためです。特に肉や魚は、空気をしっかり抜いてぴったりと包み、二重の対策をしておくと品質を保ちやすくなります。

そして意外と見落としがちなのが、ラップの保管場所です。高温になる場所や直射日光の当たる場所に置いておくと、素材が劣化して密着性や耐熱性が落ちることがあります。涼しく乾燥した場所で保管するよう心がけましょう。

ラップひとつで変わる、保存と調理の質

ラップを「ただの包むフィルム」とあなどらず、素材に注目して選ぶことで、保存力も調理のしやすさもぐっと変わります。

まずはPVDCタイプを1本持っておき、使い分けを意識するだけでも、日々のキッチンストレスは減っていくはずです。野菜にはPE、見栄え重視ならPVCというように、場面ごとに最適な素材を選べるようになると、食品をもっとおいしく、安全に保てるようになります。

今日から「素材で選ぶラップ習慣」、始めてみませんか?

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この記事の監修者

管理栄養士・料理家

ひろのさおり

お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。