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2025.11.05

更年期の体と心を支える食事の整え方

ライフステージ別の食事

更年期の体と心を支える食事の整え方

40代後半から50代にかけて、「以前は平気だったのに」と感じる場面が増えていませんか。その背景にあるのが、女性ホルモン「エストロゲン」の急激な減少による更年期の影響です。

ほてり、疲労感、不眠、イライラ。いくつも重なると、気合いだけではどうにもならない日もあります。そんな時期だからこそ、毎日の食事が体と心を支える土台になります。

この記事では、更年期に意識したい栄養素と、無理なく続けられる食生活の工夫を、管理栄養士の視点でお伝えします。

更年期の体で起きている変化を知る

更年期とは、閉経をはさんだ前後約10年間を指します。この期間にエストロゲンが大きく減少し、自律神経や代謝のバランスがゆらぎやすくなります。

よく見られる変化として、次のようなものがあります。

顔のほてりや突然の発汗、動悸といったホットフラッシュ。イライラ、不安感、気分の落ち込みといった精神的な変動。不眠、疲労感、肩こりなどの体の不調。さらに、骨密度の低下や筋力の減少といった目に見えにくい変化も進行します。

症状の出方には個人差がありますが、「体と心がゆらぎやすい時期」という点は多くの人に共通しています。

更年期のゆらぎを支える栄養素

更年期の不調を栄養だけで解決することはできません。しかし、体に必要な材料が不足していると、ゆらぎが大きくなりやすいのも事実です。意識しておきたい栄養素を整理します。

◎大豆イソフラボン
女性ホルモンに似た働きをもつ植物性成分です。納豆、豆腐、豆乳など、食卓に取り入れやすい食品から毎日少しずつ摂るのが理想的です。サプリメントに頼るより、食品から自然に摂取する方が体への負担も少なくなります。

◎カルシウムとビタミンD
骨の健康を守るために欠かせません。閉経前後は骨密度が低下しやすい時期です。小魚、ヨーグルト、チーズなどのカルシウム源に加えて、鮭や干ししいたけなどビタミンDを含む食品もセットで摂ることで、カルシウムの吸収率が高まります。

◎鉄分とビタミンB群
だるさ、息切れ、集中力の低下が気になるときに意識したい栄養素です。赤身肉、あさり、卵、葉物野菜をバランスよく取り入れましょう。偏りがちな日は、「今日は鉄を補う日」と決めて意識的に摂るのも有効です。

◎オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
青魚に多く含まれる良質な脂質です。魚料理を作るのが難しい日は、サバ缶やいわし缶を「あと一品」として活用するだけでも十分です。

◎食物繊維
腸内環境を整えることで食欲や気分の波を穏やかにする働きがあります。海藻、きのこ、ごぼう、玄米などを、副菜や汁物で少し足す程度でも効果が期待できます。

無理なく続く食事の整え方

「ちゃんとしなければ」と思うほど、食事は続きにくくなります。更年期は、頑張るより「迷わず回る仕組み」を作ることが大切です。日常に落とし込める型を用意しましょう。

食卓の基本は「主食+主菜+汁物」で十分

副菜が用意できない日があっても問題ありません。まずは、たんぱく質が入る主菜と、温かい汁物があるだけで食事は整います。完璧を目指すより、できる範囲で続けることを優先しましょう。

朝食は固定メニューを決めておく

体調がゆらぐと、朝食のメニューを考えること自体が負担になりがちです。「これなら食べられる」というパターンを一つ持っておくと、迷わず続けられます。

たとえば、ヨーグルトにきな粉と果物を加える、納豆ごはんに味噌汁を添える、といったシンプルなもので十分です。

常備食材で自然に整える

冷凍野菜、青魚缶、豆腐、卵、無調整豆乳。これらの食材が家にあるだけで、献立が自然に整います。買い物の際に意識的にストックしておくと、疲れている日でも栄養のある食事を用意しやすくなります。

体調に合わせて選び方を変える

ここからは、毎日の食事で迷いにくくなる判断軸をまとめます。すべてを実践する必要はありません。今の自分に必要そうなものから一つ選んで始めてみてください。

落ち着かない日は、栄養より「リズム」を守る

自律神経がゆらぐ日は、栄養の正解を探すより、食べる時間を一定に保つことが効果的な場合があります。朝は少量でも何か口に入れる、夜を遅くしすぎない。まずはここから始めましょう。

「減らす」より「足す」で整える

カフェインやアルコールを控えることは大切ですが、同時に不足しやすい鉄、カルシウム、たんぱく質を「足す」発想にすると、気持ちがラクになります。制限ばかりではストレスが溜まりやすいため、前向きな工夫を心がけましょう。

たんぱく質は一度にまとめず分散させる

筋肉は落ちやすく、疲れやすさにもつながります。卵、納豆、ヨーグルト、魚など、手間のかからないものを朝昼夜に分けて摂るのがおすすめです。一食で大量に摂るより、分散させた方が体への負担も少なくなります。

乱れた日があっても、週単位で整える

外食や甘いものが続いても、週の中で調整できれば問題ありません。「魚の日」「豆の日」を作るなど、ゆるく整える設計の方が長続きします。完璧を求めすぎず、柔軟に対応しましょう。

自分のための「整える食事」を大切に

更年期は、次のライフステージへ進むための準備期間です。不調をゼロにすることを目指すより、「波があっても戻れる」状態を作ることが、日々の暮らしを軽くしてくれます。

今日の食事に、納豆を一品加える、魚を選ぶ、温かい汁物を添える。そんな小さな積み重ねが、自分の体をいたわることにつながります。無理のない範囲で、できることから始めていきましょう。

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この記事の監修者

管理栄養士・料理家

ひろのさおり

お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。