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2026.01.08

40代から意識したい「フレイル予防」。筋肉を減らさないための効率的なたんぱく質の摂り方

ライフステージ別の食事

40代から意識したい「フレイル予防」。筋肉を減らさないための効率的なたんぱく質の摂り方

最近、階段を上るのがちょっときつくなった。重い買い物袋を持つと、腕がすぐにだるくなる。夕方になると疲れが抜けにくくなった気がする。そんな小さな変化を感じている方も多いのではないでしょうか。

「まだ40代なのに」と思うかもしれませんが、実は筋肉量の減少は40代から加速し始めます。今のうちから“筋肉を減らさない食べ方”を意識しておくことで、60代・70代になっても自分の足でしっかり歩ける体を守ることができます。

この記事では、フレイル予防の観点から、たんぱく質を効率よく吸収するための調理法や食べ方のコツをご紹介します。

40代から始まる筋肉の曲がり角

フレイルとは、加齢によって心身が弱っていく状態を指す言葉です。筋力が落ち、疲れやすくなり、活動量が減っていく。そのサイクルが進むと、要介護のリスクがぐんと上がります。

ただ、フレイルは「なってしまったら終わり」ではありません。適切な食事と運動によって、状態を改善できる中間地点でもあります。だからこそ、早めに気づいて対策を始めることが大切なのです。

筋肉量は40代から年1%ずつ減り始める

筋肉量の減少は、20代後半から緩やかに始まり、40代以降に加速します。何も対策をしなければ、60代までに筋肉量が2〜3割減ることも珍しくありません。

筋肉が減ると、基礎代謝が下がり、太りやすくなる。疲れやすくなり、動く気力が落ちる。そしてさらに筋肉が減る。この負のサイクルが、フレイルへの入り口になります。

粗食が筋肉を減らすこともある

「年齢を重ねたら粗食がいい」という考えを持っている方もいるかもしれません。しかし、たんぱく質が不足した状態が続くと、体は筋肉を分解してエネルギーに変えてしまいます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、65歳以上のたんぱく質目標量の下限が引き上げられました。フレイル予防を視野に入れた改定です(※1)。

つまり、年齢を重ねるほど「しっかり食べる」ことが大切になってきます。

たんぱく質はどれくらい必要か

フレイル予防の観点からは、体重1kgあたり1.0g以上のたんぱく質摂取が目安とされています。体重50kgの方なら、1日50g以上。体重60kgなら60g以上です。

豚バラ肉100gで約14g、鮭の切り身1切れ(80g程度)で約18g、卵1個で約6g、納豆1パックで約8g。意識しないと、案外届かない量です。

朝・昼・夜にバランスよく分散させる

たんぱく質は、一度にたくさん摂っても吸収には限界があります。朝に少なく、夜にドカンと食べるパターンより、朝・昼・夜に分けて摂るほうが、筋肉の合成には効率的です。

朝食を「パンとコーヒーだけ」で済ませている方は、ここが見直しポイントになります。

消化吸収を助ける調理法でたんぱく質を届ける

たんぱく質は、しっかり食べているつもりでも、消化吸収がうまくいかなければ体に届きません。とくに40代以降は、胃酸や消化酵素の分泌が少しずつ減り、消化力が落ちてきます。

「肉を食べると胃がもたれる」「翌日まで胃が重い」という方は、消化をサポートする調理の工夫を取り入れてみてください。

下味に発酵調味料を使う

肉や魚に塩麹や味噌で下味をつけておくと、発酵の力でたんぱく質が分解されやすくなります。胃腸への負担が軽くなり、消化のスタートがスムーズになります。

鶏むね肉に塩麹を薄くまぶして30分〜1時間おくだけで、パサつきが抑えられ、しっとりとした食感に仕上がります。消化のしやすさと美味しさを両立できる方法です。

大根おろしやキウイを添える

大根おろしやキウイには、たんぱく質を分解する酵素が含まれています。焼き魚に大根おろしを添えるのは、昔からある理にかなった組み合わせです。

酢豚にパイナップルを入れるのも同じ発想。酵素の力で肉がやわらかくなり、消化を助けてくれます。食後の胃の重さが気になる方は、ぜひ試してみてください。

煮込み料理でほろほろにする

肉は長時間煮込むことで、繊維がほぐれて消化しやすくなります。ポトフやシチュー、肉じゃがのような煮込み料理は、たんぱく質を無理なく摂りたいときにおすすめです。

圧力鍋を使えば、短時間でもやわらかく仕上がります。忙しい日でも取り入れやすい方法です。

朝・昼・夜でたんぱく質を積み上げる

朝は軽めでもたんぱく質ありに

朝食を抜いたり、パンとコーヒーだけで済ませたりすると、たんぱく質の摂取が夜に偏りがちです。

ゆで卵を1つ加える。ヨーグルトを添える。トーストにチーズをのせる。こうした小さな工夫で、朝のたんぱく質を底上げできます。

昼は主菜をしっかり意識する

昼食は、麺類や丼ものなど炭水化物中心になりやすい時間帯です。うどんやそばを選ぶなら、卵や豆腐をトッピング。パスタなら、ツナやサーモンが入ったメニューを選ぶと、たんぱく質を補いやすくなります。

コンビニで選ぶなら、サラダチキンやゆで卵、豆腐バーなど、手軽に足せるものを1品プラスしてみてください。

夜は量より質を意識する

夕食は、たんぱく質を摂りやすい反面、脂質が多くなりがちな時間帯です。脂身の多い肉が続くなら、魚や大豆製品に置き換える日を作ると、たんぱく質の質が整います。

豆腐や納豆は、消化の負担が軽く、夜遅い食事でも取り入れやすい食材です。

たんぱく質だけに頼らない習慣

たんぱく質をしっかり摂ることは大切ですが、それだけでは筋肉は維持できません。筋肉の合成には、刺激と休息も必要です。

週に数回、軽い筋トレやウォーキングを取り入れると、たんぱく質の効果が発揮されやすくなります。スクワットや階段の上り下りなど、日常の中でできる動きでも十分です。

また、ビタミンDも筋肉の機能維持に関わっています。鮭やきのこ類に多く含まれ、適度な日光浴でも皮膚から合成されます。1日15分程度は外に出る習慣があると安心です(※2)。

今日の一口が10年後の足腰を守る

フレイル予防は、60代・70代になってから始めるものではありません。40代のうちから「筋肉を減らさない食べ方」を意識しておくことで、将来の体の土台が変わってきます。

大切なのは、完璧を目指さないこと。毎食すべてを整える必要はありません。「今日の朝食にたんぱく質を1品足す」「今週は肉料理に塩麹で下味をつけてみる」。そんな小さな一歩から始めてみてください。

1か月、3か月と続けていくうちに、体の変化を感じられるようになるはずです。疲れにくくなった、階段が楽になった。そんな手応えが、次の一歩を後押ししてくれます。

今日の食卓から、少しずつ始めてみませんか。

参考

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この記事の監修者

管理栄養士・料理家

ひろのさおり

お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。