2026.01.16
「風邪をひきやすくなった」と感じたら。40代からの免疫を整える食事の工夫
ライフステージ別の食事
季節の不調と栄養ケア
季節の変わり目や、ちょっと疲れがたまったとき。「あれ、また風邪ぎみかも」と感じることが増えていませんか。以前なら一晩寝れば回復したのに、最近は長引くことも多い。そんな変化に気づいたら、それは体からの小さなサインかもしれません。
この記事では、なぜこの年代から風邪をひきやすくなるのか、そして毎日の食事でできる免疫ケアについて、管理栄養士の視点からお伝えします。
40代から免疫が揺らぎやすくなる理由
「昔はこんなに風邪をひかなかったのに」と思うこと、ありませんか。それは気のせいではなく、年齢とともに起きる体の変化が関係しています。
私たちの体には、外から入ってきたウイルスや細菌と戦う免疫システムが備わっています。この免疫機能は20代をピークに、40代ではおよそ半分程度まで低下するといわれています(※1)。とくに、一度かかった病気を記憶して素早く対応する「獲得免疫」の働きが落ちやすく、風邪が長引いたり、同じ症状を繰り返しやすくなります。
忙しさが免疫の土台を揺るがす
加齢だけが原因ではありません。40〜50代は、睡眠時間が削られたり、食事が簡単なもので済んでしまったり、ストレスを感じる場面も多くなります。
こうした生活習慣の乱れは、免疫機能をさらに押し下げる要因になります。年齢による変化と、生活習慣の乱れが重なることで、風邪をひきやすい状態が作られているのです。逆に言えば、生活習慣を少し整えるだけでも、免疫の土台を立て直すことはできます。
免疫を支える3つの柱は「腸・たんぱく質・ビタミン」
では、具体的に何を意識すればいいのでしょうか。免疫ケアのポイントは、大きく3つあります。
1. 腸内環境を整える
免疫細胞の約7割は腸に集まっているといわれています(※2)。腸は食べ物の栄養を吸収する場所であると同時に、外から入ってくる異物を見張る「門番」のような役割も担っています。
腸内環境が乱れると、この門番機能がうまく働かなくなり、免疫力が下がりやすくなります。発酵食品や食物繊維を日常的にとることで、腸内の善玉菌を増やし、免疫の土台を整えることができます。
ヨーグルトや納豆、味噌、漬物などの発酵食品には、腸内環境をサポートする乳酸菌などが含まれています。近年は、特定の乳酸菌と免疫機能の関係についての研究も進んでいますが、大切なのは「特定の菌を摂る」ことよりも、発酵食品を日常的に取り入れる習慣をつくることです。
2. たんぱく質で免疫細胞の材料を確保する
免疫細胞も、筋肉や肌と同じように、たんぱく質を材料にして作られます。たんぱく質が不足すると、免疫細胞の数や働きが落ちてしまいます。
40代以降は、食が細くなったり、肉や魚を避けがちになったりする方もいますが、免疫を維持するためには、むしろ意識してたんぱく質を摂る必要があります。肉、魚、卵、大豆製品をバランスよく、毎食手のひら1枚分程度を目安にしましょう。
3. ビタミン・ミネラルで免疫機能をサポートする
免疫機能を正常に保つためには、ビタミンやミネラルも欠かせません。とくに注目したいのが、ビタミンDと亜鉛です。
ビタミンDは、免疫機能を調整する働きがあり、不足すると風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症にかかりやすくなるという研究報告があります(※3)。日光を浴びることで体内でも作られますが、室内で過ごす時間が長い方や、紫外線対策をしっかりしている方は不足しがちです。鮭やサバ、きのこ類に多く含まれているので、食事からも意識して摂りたい栄養素です。
亜鉛は、免疫細胞の働きを助けるミネラルで、不足するとウイルスへの抵抗力が下がるといわれています。牡蠣、牛肉、卵、ナッツ類などに含まれています。
毎日の食卓でできる免疫ケア
ここからは、1日の流れに沿って、無理なく続けられる食事の工夫をご紹介します。
朝は「たんぱく質+発酵食品」で体を起こす
朝食は、1日の免疫リズムを整えるスタート地点です。時間がなくても、ヨーグルトに卵をプラスする、納豆ごはんに味噌汁を添える、といった組み合わせで、たんぱく質と発酵食品を同時に摂ることができます。
ヨーグルトにきな粉やオートミールを足すと、食物繊維も一緒に摂れて、腸内環境のサポートにもなります。
昼は「野菜・きのこ・海藻」をあと一品
ランチは外食やコンビニで済ませる方も多いかもしれません。そんなときは、サラダや具だくさんの味噌汁を「あと一品」足すことを意識してみてください。
きのこ類はビタミンDが豊富で、免疫ケアにぴったりの食材です。コンビニのカップ味噌汁やサラダにも、きのこや海藻が入っているものを選ぶと、手軽に栄養をプラスできます。
夜は「魚+大豆製品」で良質たんぱく質を
夜は、1日の疲れを癒しながら、免疫細胞の材料を補給する時間です。肉料理が続いているなら、週に2〜3回は魚料理を取り入れてみてください。
鮭やサバなどの魚は、たんぱく質に加えてビタミンDも豊富。サバ缶や鮭の切り身なら、調理の手間も少なく続けやすいですね。豆腐や納豆との組み合わせもおすすめです。
手軽に続けるための「常備食材」
忙しい日でも免疫ケアを続けるには、使いやすい食材を常備しておくことがポイントです。
冷蔵庫には納豆、豆腐、卵、ヨーグルト、味噌。冷凍庫には冷凍きのこや鮭の切り身。常温でサバ缶や乾燥わかめ、ミックスナッツがあれば、疲れた日でも「納豆ごはん+卵+味噌汁」「サバ缶ときのこの簡単煮」など、免疫を意識した食事がさっと作れます。
食事だけでなく、生活リズムも整える
免疫ケアは、食事だけで完結するものではありません。睡眠、運動、ストレス管理も、免疫機能に大きく影響します。
睡眠中は免疫細胞が活発に働く時間。6〜7時間を目安に、できるだけ同じ時間に寝起きするリズムを作りましょう。ウォーキングなど軽い運動は血流をよくし、免疫細胞が体のすみずみまで届きやすくなります。
また、強いストレスが続くと免疫機能が低下することがわかっています。趣味の時間を作る、湯船にゆっくり浸かるなど、自分なりのリラックス方法を持っておくことも大切です。
今日からできる小さな一歩を
40代、50代で「風邪をひきやすくなった」と感じるのは、体からのサインです。でも、それは「もう手遅れ」という意味ではありません。
毎日の食事を少し意識するだけで、免疫の土台は整えていけます。朝食に発酵食品を足すことから、週に2回魚を食卓に出すことから。小さな積み重ねが、風邪に負けない体をつくっていきます。
参考
- (※1)健康長寿ネット「免疫系の老化」
- (※2)ビオフェルミン製薬「腸内フローラと腸管免疫の関係」
- (※3)Martineau AR, et al. “Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory tract infections: systematic review and meta-analysis of individual participant data”, BMJ, 2017
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この記事の監修者
管理栄養士・料理家
ひろのさおり
お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。