2026.01.06
ショウガは加熱でパワーアップ!代謝も免疫も支える温活習慣
季節の不調と栄養ケア
朝起きたとき、布団から出るのがつらい。オフィスでは足先が冷たくて集中できない。夜はお風呂で温まっても、ベッドに入る頃にはもう冷えている——。そんな「冷え」との終わりのない戦いに、心当たりはありませんか?
靴下を重ね履きしたり、カイロを貼ったり。外側からの対策をいくら重ねても、なかなか根本的な解決にはつながらないものですよね。実は、冷えを本当に改善するには「体の内側から温める」アプローチが欠かせません。
そこで注目したいのが加熱したショウガです。「ショウガが体を温める」というのは昔からよく知られていますが、生のままより加熱したほうが温め効果が高まることをご存じでしょうか。この記事では、加熱ショウガがなぜ体を芯から温めてくれるのか、その仕組みと健康効果、そして毎日続けやすい取り入れ方をご紹介します。
冷え性の正体は「体の中心」にある
手足が冷たいと「末端の血行が悪いのかな」と思いがちですが、実はそれだけではありません。冷え性の根本的な原因は、体の中心部(深部)の温度が下がっていることにあります。
私たちの体は、心臓や内臓といった大切な器官を守ることを最優先にしています。体が冷えを感じると、まず中心部の温度を維持しようとして、手足など末端への血流を制限するのです。つまり、手足の冷えは「体の中心が冷えているサイン」とも言えます。
だからこそ、手袋や靴下で外から温めるだけでは限界があるんですね。冷え性を根本から改善するには、体の中心部を温めることが大切なのです。
加熱すると「温め成分」に変わる
では、なぜ加熱したショウガが体を芯から温めてくれるのでしょうか。その秘密は、ショウガに含まれる成分の変化にあります。
生のショウガにはジンゲロールという辛味成分が豊富に含まれています。このジンゲロールには発汗作用や殺菌作用があり、風邪のひきはじめに生姜湯を飲むと良いと言われるのはこのためです。ただし、ジンゲロールは体の表面を温めて発汗を促す働きが中心で、深部を温める力はそれほど強くありません。
ところが、ショウガを加熱すると、このジンゲロールがショウガオールという別の成分に変化します。ショウガオールには血流を促進し、体の深部体温を高める作用があるのです。
研究によると、ショウガを100℃で60分茹でると6-ショウガオールが約3.3倍、蒸すと約3.6倍に増加することが確認されています(※1)。また、漢方で使われる「乾姜(カンキョウ)」のように、蒸してから乾燥させたショウガでは、生の状態よりショウガオールが多く含まれることが報告されています(※2)。
温かさが長続きする理由
加熱ショウガのもうひとつの魅力は、温め効果が持続することです。
カイロを貼ったり、お風呂に入ったりすると、確かにその場では温まります。でも、外側からの熱はどうしても時間が経つと逃げてしまいますよね。
一方、加熱ショウガに含まれるショウガオールは、体の内側から働きかけます。消化吸収されたショウガオールが血流を促進し、体の中心部から温まった血液が全身に巡ることで、手足の先までポカポカが行き渡るのです。
内側からじわじわと温まるため、効果が長く続きやすいのが特徴。冷えやすい季節に「一日中ぽかぽかでいたい」という方には、まさにぴったりの温活法と言えるでしょう。
冷え対策だけではない健康効果
加熱ショウガの血流促進作用は、冷え性改善にとどまりません。体を温めることで得られる健康効果は、実はとても幅広いのです。
代謝のサポート
血流が良くなると、筋肉や臓器への酸素供給がスムーズになります。すると、エネルギーを作り出す体の回路(代謝)が活発に働くようになります。さらにショウガオールには、体内で熱を生み出す「褐色脂肪細胞」を刺激する作用があるとも言われており、エネルギー消費を高める効果が期待されています。
免疫力への働きかけ
「体温が1℃上がると免疫力が上がる」という話を聞いたことがあるかもしれません。体温が適切に保たれることで免疫細胞が活発に働き、風邪や感染症への抵抗力を高める効果が期待できます。寒い季節の体調管理にも、加熱ショウガは心強い味方になってくれそうですね。
抗酸化作用による若々しさのサポート
ショウガには抗酸化作用を持つ成分も含まれています。体内の酸化ストレスを軽減することで、生活習慣病の予防や、肌や体の老化対策にも役立つと注目されています。
このように、加熱ショウガは単なる「温め食材」ではなく、体のコンディション全体を底上げしてくれる健康サポート食材でもあるのです。
毎日の食卓への取り入れ
「体に良いのはわかったけど、毎日続けるのは大変そう…」と思われるかもしれません。でも、加熱ショウガは意外と簡単に日常に取り入れられます。ポイントは、普段の料理や飲み物に自然に組み込むこと。特別なことをしなくても、いつもの食卓にひと工夫するだけで十分なのです。
煮込み料理に加える
鯖の味噌煮、牛すじ煮込み、豚の角煮、生姜入りの炊き込みご飯など。じっくり加熱する料理にショウガを入れれば、自然とショウガオールが増えた状態で摂取できます。煮込み時間が長いほど成分変化が進むので、じっくりコトコト煮る料理がおすすめです。
温かい飲み物にひと振り
もっと手軽に取り入れたいなら、温かい飲み物に加える方法がぴったりです。紅茶やほうじ茶に乾燥ショウガパウダーをひと振り。味噌汁やスープにすりおろしショウガを加えるのも良いですね。1日あたり1〜2g程度を目安にすると、無理なく続けられます。
冷凍ストックを活用する
ショウガをスライスや刻みの状態で冷凍しておくと、使いたいときにさっと取り出せて便利です。まとめて下処理しておけば、忙しい日でも手軽に加熱ショウガを料理に加えられます。
摂るタイミングを分散させる
一度にたくさん摂るよりも、1日2〜3回に分けて少量ずつ摂るほうが、温め効果が持続しやすいと言われています。朝の味噌汁、昼のお茶、夜の煮物というように、食事のタイミングに合わせて取り入れてみてください。
また、入浴や軽い運動と組み合わせると、血流改善の相乗効果も期待できます。お風呂上がりに生姜紅茶を飲む、といった組み合わせも良いですね。
摂りすぎには注意を
体に良い加熱ショウガですが、摂りすぎには注意が必要です。
特に乾燥ショウガやパウダーは成分が凝縮されているため、大量に摂ると胃に負担をかけることがあります。胃腸の調子が悪いときや、空腹時の摂取は控えめにしましょう。前述の1日1〜2gという目安を守れば、安心して続けられます。
一方で、ショウガの香りと辛味を上手に活用すると、塩分を控えめにしても味に物足りなさを感じにくいというメリットもあります。温活しながら減塩もできるのは、うれしいポイントですよね。
加熱ショウガで体の中からポカポカ習慣を
加熱ショウガは、冷え性を改善するだけでなく、代謝や免疫、若々しさのサポートにも役立つ優秀な温活食材です。生のショウガを加熱することでショウガオールが増え、体の中心部から温めてくれる——。昔ながらの知恵には、ちゃんと科学的な裏付けがあったのですね。
特別な準備は必要ありません。今日の味噌汁やスープ、煮込み料理にショウガをひとかけ加えるところから始めてみませんか?毎日の小さな習慣が、冷えに負けない体づくりにつながっていきます。
参考
- (※1)吉田真美, 平林佐央理「ショウガ中の6-ジンゲロールの加熱調理による変化」日本調理科学会誌 Vol.48, No.6, 398-404(2015)
- (※2)奈女良昭ら「乾姜中Zingeroneの定量および市場品乾姜の産地特性について」生薬学雑誌 Vol.66, 17-22(2012)
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この記事の監修者
管理栄養士・料理家
ひろのさおり
お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。