2025.12.18
ダイエット停滞期の正体と、今日からできる抜け出し方
栄養の基本
毎日体重計に乗るたび、同じ数字が並ぶ。食事も気をつけているし、運動だって続けている。なのに、ここ2週間ほどピクリとも動かない——。
そんな経験、ありませんか。
ダイエットを始めて順調に減っていた体重が、ある日を境にぴたりと止まる。この「停滞期」は、実は多くの人が経験する自然な現象です。そして、ここで焦って極端な制限に走ると、かえって逆効果になることも。
今回は、停滞期がなぜ起こるのか、その仕組みを理解したうえで、無理なく抜け出すためのヒントをお伝えします。
停滞期は体の防御反応だった
「頑張っているのに痩せない」と感じると、自分のやり方が間違っているのではと不安になりますよね。でも、停滞期は失敗のサインではありません。むしろ、体が正常に機能している証拠なのです。
私たちの体にはホメオスタシスという仕組みが備わっています。これは、体の状態を一定に保とうとする働きのこと。体温や血圧を安定させるのと同じように、体重の急激な変化にもブレーキをかけようとします。
とくに短期間で体重が減ると、体は「エネルギーが足りなくなっている」と判断し、消費カロリーを抑える省エネモードに切り替わります。いわば、体が自分を守ろうとしている状態です。
省エネモードが引き起こす食欲の変化
省エネモードに入ると、基礎代謝が下がるだけでなく、ホルモンバランスにも変化が起きます。
食欲を高めるグレリンというホルモンが増え、反対に満腹感をもたらすレプチンが減少。その結果、「甘いものが無性に食べたくなる」「一度食べ始めると止まらない」といった状態に陥りやすくなります。
これは意志の弱さではなく、体の自然な反応です。自分を責める必要はありません。
ただし、こうした反応が起きやすいのは、極端な食事制限をしている場合。1日1,000kcal以下に抑えたり、主食を完全にカットしたりすると、体は「飢餓状態」と認識しやすくなります。
体重が減ると消費カロリーも減る
停滞期にはもうひとつ、見落としがちな理由があります。それは、体重そのものが減ったことで、必要なエネルギー量も少なくなるということ。
たとえば、体重60kgの人が1日2,000kcalで体重を維持できていたとします。55kgまで減ると、同じ活動量でも消費カロリーは150〜200kcalほど少なくなることがあります。
この差が積み重なると、摂取カロリーと消費カロリーが釣り合い、体重は横ばいに。さらに、食事制限で筋肉量が減っていると、基礎代謝の低下に拍車がかかります。
停滞期を抜け出すための4つのアプローチ
では、停滞期に差しかかったとき、どうすればいいのでしょうか。大切なのは、さらに食事を減らすことではありません。むしろ、体を安心させながら、少しずつ消費カロリーを増やしていく工夫が効果的です。
食事は減らすより整える
極端に減らすと省エネモードが強まるため、主食・主菜・副菜をバランスよくそろえ、全体量を少し抑える程度にとどめましょう。
とくに意識したいのはたんぱく質です。筋肉の材料となる栄養素で、1日あたり体重1kgにつき1.0〜1.2gを目安に摂ると、筋肉量の維持に役立ちます。体重55kgなら、55〜66g程度。肉や魚、卵、大豆製品などを毎食取り入れるイメージです。
筋トレと日常の動きを増やす
有酸素運動だけに頼ると、脂肪と一緒に筋肉も落ちやすくなります。週2〜3回の筋トレを取り入れて、筋肉量をキープしましょう。
おすすめは、太ももやお尻など大きな筋肉を使うスクワットやランジ。自宅でもできるうえ、消費カロリーも大きくなります。
さらに注目したいのが、NEAT(ニート) と呼ばれる日常の活動で消費されるエネルギーです。エスカレーターを階段に変える、電車で一駅分歩く、立ち作業を増やす——こうした小さな積み重ねが、1日の消費カロリーを底上げしてくれます。
体重以外の変化にも目を向ける
停滞期は体重という数字だけを見ていると、つらくなりがちです。でも、体の変化は体重だけではありません。
体脂肪率やウエストのサイズ、洋服のフィット感、鏡に映る姿——こうした指標で変化を確認してみてください。体重が動かなくても、見た目が引き締まっていることに気づけると、モチベーションを保ちやすくなります。
写真を定期的に撮っておくのもおすすめです。1か月前の自分と比べてみると、思った以上に変化していることがあります。
睡眠とストレスケアを後回しにしない
意外と見落とされがちなのが、睡眠とストレスの影響です。
睡眠不足になると、食欲を増進させるグレリンが増え、満腹感を感じにくくなります。つい夜遅くに甘いものに手が伸びてしまうのは、意志の問題ではなくホルモンの影響かもしれません。
1日7時間以上の睡眠を確保する、湯船にゆっくり浸かる、深呼吸で自律神経を整える——こうした習慣も、ダイエットを支える大切な要素です。
やってはいけない停滞期の過ごし方
焦る気持ちはわかりますが、次のような対処法は逆効果になりやすいので注意が必要です。
さらに食事を減らす——省エネモードが強まり、ますます痩せにくくなります。リバウンドのリスクも高まるため、避けたほうが賢明です。
有酸素運動だけを増やす——長時間の有酸素運動は筋肉の分解を招きやすく、基礎代謝の低下につながることがあります。筋トレとのバランスを意識しましょう。
短期間で結果を求める——停滞期は通常2〜4週間ほど続くことがあります。この期間を“体が新しい状態に慣れる準備期間”と捉え、焦らず過ごすことが大切です。
停滞期は次のステップへの準備期間
停滞期は「減らないから失敗」ではなく、体が新しい体重に適応しようとしているサインです。
ここで無理をせず、栄養バランスを整え、日常の活動量を少しずつ増やしていけば、やがて体は再び変化を始めます。体重計の数字だけにとらわれず、体脂肪率や見た目の変化、体調の良さにも目を向けてみてください。
ダイエットは短距離走ではなく、長い道のりを歩くようなもの。停滞期は、その途中で一息つく休憩所のようなものかもしれません。
今日できる小さな工夫——たとえば、いつもより一駅分多く歩いてみる、夕食にタンパク質を一品足してみる——そんなところから、また一歩、前に進んでみませんか。
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この記事の監修者
管理栄養士・料理家
ひろのさおり
お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。