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2026.01.02

冷凍食品をごちそうに変える方法。話題のフリーザーファインダイニングとは

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冷凍食品をごちそうに変える方法。話題のフリーザーファインダイニングとは

仕事から帰ってきて、冷蔵庫を開けたものの何も作る気になれない。コンビニに寄る元気もないし、デリバリーは最近頼みすぎている。そんな夜、冷凍庫からレストランで出てくるような一皿がさっと用意できたら、ちょっと気持ちが楽になりますよね。

いま、冷凍食品は単なる非常食や手抜きの代名詞ではなくなってきています。国内の冷凍食品市場は成長を続けており、家庭用・業務用ともに存在感を増しています(※1)。さらに海外ではフリーザーファインダイニングという言葉がトレンドとして注目され始めました。(※2)

冷凍庫を開けるたびにワクワクする。そんな食卓のつくり方を、選び方から温め方、組み合わせのコツまでお伝えします。

冷凍食品への罪悪感はもう古い

冷凍食品を使うことに、どこか後ろめたさを感じていませんか。手作りこそ正義、冷凍は妥協という価値観は、少し前の話になりつつあります。

現在の冷凍食品が支持される理由は、時短だけではありません。味のクオリティが向上し、選択肢が広がり、計画的な食事管理がしやすくなったことが大きいのです。冷凍庫に頼れるストックがあるだけで、毎日の献立を考える心理的な負担がぐっと軽くなります。

外食より価格を抑えられて、コンビニ弁当より栄養バランスを調整しやすい。この立ち位置が、忙しい現代人の生活を静かに支えています(※1)。

フリーザーファインダイニングという新しい発想

フリーザーファインダイニングとは、冷凍食品を主役に据えて、自宅で外食のような満足感を味わおうという考え方です。

たとえば、レストランで出てくるような前菜やメインを冷凍でそろえておき、お気に入りの器に盛り付けてハーブやオイルで香りを添える。そんな楽しみ方が、海外のトレンド予測でも紹介されるようになりました(※2)。

ポイントは、料理の腕前ではなく選び方と演出にあります。質の良い冷凍食品を見極めて、ひと手間加えることで特別感を生み出す。料理が得意でなくても実践できるのが魅力です。

体に良さそうな冷凍食品を見分けるコツ

せっかく冷凍食品を取り入れるなら、体にも良いものを選びたいですよね。スーパーの冷凍食品売り場で迷ったときは、パッケージ裏の栄養成分表示を30秒だけ確認してみてください。

チェックしたいのは次の3点です。

たんぱく質は、主菜として食べるなら1食あたり15g以上を目安にすると、食後の満足感が違ってきます。塩分は、味がしっかりしたタイプほど高くなりがちなので、副菜や汁物を薄味にするなど引き算の工夫が役立ちます。野菜や食物繊維は、パスタやチャーハンなどの主食系に不足しやすいので、サラダや冷凍野菜を添えることを前提に選ぶとバランスが整います。

冷凍食品で食生活が整っている人に共通するのは、単品で満足しようとせず、組み合わせで栄養バランスを取る習慣があることです。

冷凍野菜の栄養価は生鮮野菜に劣らない

冷凍野菜は栄養が落ちていると思われがちですが、そうとも限りません。多くの冷凍野菜は収穫後すぐに急速冷凍されるため、輸送や店頭陳列で時間が経った生鮮野菜よりも栄養素が保たれているケースがあります。研究でも、冷凍野菜のビタミン含有量が生鮮野菜と同等か、保存期間によっては冷凍のほうが有利になる可能性が報告されています(※3)(※4)。

野菜の価格が高騰している時期や、一人暮らしで使い切れないことが多い方には、冷凍野菜を常備菜の素材として活用することをおすすめします。

温め方ひとつで満足度が変わる

同じ冷凍食品でも、温め方によって仕上がりの満足度は大きく変わります。べちゃっとする、水っぽくなるといった失敗は、ほとんどが温め方に原因があります。

目指したいのは、表面は香ばしく、中はしっかり熱々という状態です。

揚げ物や点心は、電子レンジで温めた後にトースターで1〜2分加熱すると、表面のパリッとした食感がよみがえります。ごはんものは、温めた直後にすぐフタをせず、少し置いて蒸気を逃がすとべたつきを防げます。ソース系の料理は、パッケージに記載された時間と出力を守ることが大切です。

安全面では、中心部まで十分に加熱することが基本です。厚生労働省は、加熱の目安として中心温度75℃で1分以上を推奨しています(※5)。

ひと手間で外食気分を演出する

冷凍食品をごちそうに変えるのに、複雑な調理は必要ありません。温めた後にちょっとしたものを足すだけで、見た目も味も格段にアップします。

香りを足すなら、黒こしょう、山椒、レモン、オリーブオイル。仕上げにひとふり、ひとまわしするだけで、お店で出てくる料理のような風味が加わります。食感を足すなら、砕いたナッツ、粉チーズ、刻み海苔、フライドオニオンが手軽です。栄養を足すなら、卵、豆腐、納豆、冷凍ブロッコリーを添えてみてください。

冷凍の主役に、香りと食感を少し添える。これがフリーザーファインダイニングを実践するいちばんの近道です。

冷凍庫のストック管理で平日を乗り切る

冷凍庫にたくさん入っているのに、結局何も使わずに過ごしてしまう。そんな経験はありませんか。使いやすい状態で管理してこそ、忙しい日の味方になってくれます。

おすすめは、冷凍庫の中をゾーン分けすることです。主菜ゾーンには肉や魚のおかず、点心を。野菜ゾーンには緑黄色野菜やきのこ類を。主食ゾーンには冷凍ごはんや麺類を。あと一品ゾーンにはスープ、枝豆、小さなおかずをストックしておきます。

今日はどのゾーンから選ぼうかと考えるだけで、献立決めのストレスが減ります。

目的に合わせた冷凍食品の選び方

冷凍食品は、その日の目的に合わせて使い分けると、もっと頼れる存在になります。

体を軽くしたい日は、野菜が多めの料理や汁物系を中心に選び、卵や豆腐でたんぱく質を補います。しっかり満足したい日は、肉や魚がメインの主菜系を選び、温野菜やサラダを添えるとバランスが取れます。塩分が気になるときは、味の濃い主菜の量を控えめにして、薄味の汁物で口をリセット。子どもと一緒に食べるなら、取り分けしやすい主菜を選び、果物やヨーグルトで調整すると喜ばれます。

冷凍食品は、ラクをすることと、ちゃんとした食事をとることを両立させてくれる存在です。今日の自分を助けるために、冷凍庫を“ごちそうの控室”にしてみませんか。

参考

  • (※1)一般社団法人 日本冷凍食品協会「日本の冷凍食品 国内生産統計(令和6年1〜12月)」(2025年)
  • (※2)Whole Foods Market「2026年 食品トレンド予測:Freezer Fine Dining」(2025年)
  • (※3)Li L. et al., “Selected nutrient analyses of fresh, fresh-stored, and frozen fruits and vegetables”, Journal of Food Composition and Analysis, 2017
  • (※4)Bouzari A. et al., “Vitamin retention in eight fruits and vegetables: a comparison of refrigerated and frozen storage”, Journal of Agricultural and Food Chemistry, 2015
  • (※5)厚生労働省・政府広報オンライン「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」

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この記事の監修者

管理栄養士・料理家

ひろのさおり

お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。