
2025.09.30
アミノ酸スコアとは?たんぱく質の質を高める食事とプロテイン選びのコツ
働く人と食の健康
栄養の基本

「たんぱく質は大事」とよく言われますが、量の意識だけでなく、“質”まで考えたことはありますか?
実は、たんぱく質の質を決める大切な指標が「アミノ酸スコア」。どんな食品を選び、どう組み合わせるかで、体への吸収効率や働きが大きく変わります。
この記事では、アミノ酸スコアの基本から、食事・プロテイン選びに活かすコツまでを、管理栄養士の視点でわかりやすく解説します。
アミノ酸スコアの基本を知ろう
アミノ酸スコアとは?
アミノ酸スコアは、体の材料となる「必須アミノ酸」がどれだけバランスよく含まれているかを数値で表したものです。FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が定めた理想のアミノ酸比率と比較して、100点満点で評価されます。
1種類でも不足していると、その食品のスコアは下がってしまうのが特徴。
「桶の理論」にたとえると、一枚でも短い板があると水があふれてしまうように、バランスの悪さが全体に影響します。
アミノ酸スコアが高い食品・低い食品
アミノ酸スコアが高い食品の代表は、肉・魚・卵・乳製品などの動物性たんぱく質。どれも必須アミノ酸がバランスよく含まれ、スコアは100です。
一方、植物性食品は一部のアミノ酸が不足しやすく、単体ではスコアが下がる傾向があります。
たとえば白米は「リジン」が少なく、スコアは61程度です。ただし、納豆や味噌など大豆製品と一緒に摂ることで、不足分を補うことができます。
なぜ“質”が重要なのか
たんぱく質が十分でも、アミノ酸のバランスが崩れると、体の中で上手く利用できません。たとえば、どれか一つのアミノ酸が少ないと、それが“ブレーキ役”となって他のアミノ酸の働きを止めてしまうのです。
プロテインやサプリを摂っていても思った効果が出ないときは、この“偏り”が原因かもしれません。
また、家庭での調理では問題ありませんが、高温加工や長期保存を繰り返すと、一部のアミノ酸が壊れてしまうことも。
プロテインを選ぶときは、製法にも少し注目してみましょう。
毎日の食事でアミノ酸バランスを整えるコツ
1. 動物性+植物性たんぱく質を組み合わせる
例:焼き魚+ごはん+味噌汁+野菜のおひたし
動物性食品(魚・肉・卵・乳製品など)はアミノ酸スコアが高く、植物性たんぱく質を含む食品(ごはん・豆腐・納豆など)は一部のアミノ酸が不足しやすい傾向があります。
両方を組み合わせることで、不足するアミノ酸を補い合い、よりバランスのよい一食になります。
2. 間食で上手にたんぱく質をプラス
運動後30分以内にたんぱく質を摂ると、筋肉の回復を助けます。牛乳やヨーグルトなど、手軽に摂れるものを選びましょう。
3. 忙しい朝は“飲むたんぱく質”で補給
例:バナナ+豆乳+きな粉のシェイク
朝食代わりでも、良質なたんぱく質とビタミンB群がしっかり摂れます。
たんぱく質食品やプロテインを選ぶときのポイント
たんぱく質の“質”を左右するのは、原料と製法。表示をよく見ることで、自分の体に合った製品を選びやすくなります。
1. ホエイプロテイン(WPC・WPI)をチェック
ホエイは牛乳由来のたんぱく質で、必須アミノ酸のバランスが非常に良い高品質なたんぱく源。吸収が早く、運動後や間食代わりにも使いやすいのが特徴です。
WPIタイプは乳糖が少なく、牛乳でお腹を壊しやすい方にもおすすめです。
2. ソイプロテインはビタミンB6入りを選ぶ
大豆由来のソイプロテインは、植物性の中でもアミノ酸バランスが優れたたんぱく質。
吸収はゆるやかで腹持ちがよく、代謝を助けるビタミンB6入りなら、より効率的に利用できます。
3. 原料と配合比をチェック
同じ「プロテイン」でも、ホエイ・ソイ・カゼインなどがどの割合で配合されているかでアミノ酸バランスが変わります。
目的に合わせて、ホエイ多め=吸収重視、ソイやカゼイン多め=持続重視といった選び方をすると効果的です。
4. 添加物・風味づけは控えめなものを
人工甘味料や香料が多い製品は、日常的に摂ると胃腸に負担がかかることも。
「無香料」「ナチュラル」「甘さ控えめ」などのタイプを選ぶと、継続しやすく、素材本来の風味も楽しめます。
アミノ酸スコアを意識して“質のよい”たんぱく質を
たんぱく質は、量よりも質が大切。アミノ酸スコアを意識すれば、体づくり・美容・健康維持をより効果的にサポートできます。
動物性と植物性のバランス、食品やプロテインの選び方を少し見直すだけで、毎日の食事がぐっと整います。
今日から“質を意識するたんぱく習慣”を始めてみませんか?