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2025.09.25

食べても満足できないのはなぜ?満腹感を左右する「脳とホルモン」の関係

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栄養の基本

食べても満足できないのはなぜ?満腹感を左右する「脳とホルモン」の関係

「ちゃんと食べたはずなのに、なんとなく物足りない」そんな感覚に心当たりはありませんか?実は、満腹感は胃の状態だけでなく、“脳”と“ホルモン”の働きによって決まります。

この記事では、満腹感が得られにくい理由と、今日からできる整え方を管理栄養士の視点で解説します。

食べても満腹感が得られない理由とは?

1. 血糖値の上昇が鈍い

糖質を極端に控えた食事では、脳に「もう満たされた」と伝えるための血糖値上昇が起こりにくくなります。

また、早食いも見落とされがちな原因。よく噛まずに短時間で食べ終えると、消化・吸収が間に合わず、脳が満腹信号を受け取る前に食べ過ぎてしまうことがあるのです。

2. ホルモンバランスが乱れている

満腹感をコントロールするホルモンは、ストレスや生活習慣に大きく左右されます。

たとえば、レプチン(満腹ホルモン)は睡眠不足で分泌が減少し、グレリン(空腹ホルモン)は逆に増加。 さらに、ストレスホルモンであるコルチゾールの増加は、無意識のうちに食欲を刺激してしまいます。

3. 食事の“かさ”が足りない

菓子パンやスナック菓子などはカロリーが高くても、胃の中で膨らまず、物理的な満足感が得にくい食べ物です。

また、噛む回数が少なくすぐに食べ終えてしまうため、早食いを助長→満腹サインが遅れるという負のスパイラルにもつながります。

満腹感のカギは3つ―血糖値・ホルモン・胃の刺激

血糖値が上がることで脳が満足を感じる

糖質が体内でブドウ糖に分解され、血液中に流れることで、脳の満腹中枢が「もう十分」と判断します。

適度な糖質は、満腹感を得るための重要なサインを届ける役割を担っています。

食欲に関わるホルモンの働き

  • レプチン:脂肪細胞から分泌され、満腹を伝える
  • グレリン:空腹時に分泌され、食欲を促す
  • コルチゾール:ストレスに反応し、過剰な食欲を引き起こすことも

これらのバランスが崩れると、空腹感や食欲がコントロールしづらくなります。

胃の膨張と“かさ”の刺激

食事量に“かさ”があると、胃がしっかり膨らみ、脳にも「満たされた」と伝わりやすくなります。

野菜・海藻・きのこなど、低カロリーでボリュームのある食材は、その面でも頼れる存在です。

食べ方・選び方を見直そう!満腹感を高める工夫

日々の食事で次のようなポイントを意識するだけで、満腹感は大きく変わります。

  • よく噛んで時間をかけて食べる
    1口30回、1食20分以上が目安。 早食いを防ぐことで、脳が満腹を感じるタイミングにしっかり間に合います。
  • 糖質を極端に制限しすぎない
    玄米・全粒粉パンなどの低GI食品を上手に取り入れましょう。
  • たんぱく質と脂質も適度に取り入れる
    消化に時間がかかるため、満腹感が持続します。
  • 野菜・海藻・きのこで“かさ増し”
    物理的なボリュームで胃がしっかり刺激されます。
  • 温かい汁物をプラス
    食事の満足感を高め、食べ過ぎ予防にも効果的です。

食欲との“ちょうどいい関係”を育てる

満腹感を保つコツは、1回の食事だけでなく1日の流れ全体を整えること。
タイミングごとに食欲を安定させる工夫を取り入れると、“ちょうどいい食べ方”が自然と身につきます。

朝食オートミール+ゆで卵+味噌汁で血糖値&満腹感を安定させる
昼食根菜たっぷりのスープ+雑穀ごはんで、かさ・糖質・食物繊維をバランスよく
間食ナッツ・ゆで大豆・スティック野菜など、噛みごたえのある選択肢を
夕食後温かいハーブティーやノンカフェイン飲料で気持ちをリセット

満腹感は“仕組み”を知れば整えられる

「食べても満足できない」のは意志の弱さではなく、体のサインを見逃している状態

血糖値・ホルモン・胃の刺激という3つの観点から食べ方を整えることで、自然と“ちょうどよく満たされる”食事スタイルが手に入ります。

自分の体と気持ちに向き合いながら、心地よい食習慣を育てていきましょう。