2025.10.01
管理栄養士が教える|納豆の栄養をしっかり活かす食べ方
調理の保存とコツ
「納豆は体にいい」とよく言われますが、実は食べ方によって栄養の働きが変わることをご存じでしょうか。
混ぜる回数や食材との組み合わせなど、ちょっとした工夫で、体に届く栄養の質がぐっと高まります。
今回は、管理栄養士の視点から、納豆の力をムダなく引き出す食べ方をお伝えします。
納豆が“健康食”と言われる理由
納豆には、骨の健康を守るビタミンK、エネルギー代謝に関わるビタミンB1、良質なたんぱく質、食物繊維、ミネラルなど、毎日の健康に欠かせない成分がバランスよく含まれています。
特に、納豆菌が生み出すナットウキナーゼは血流の巡りを助ける働きがあり、生活習慣が気になる方にも注目されています。
ただし、同じ納豆でも「どの種類を選ぶか」「どう食べるか」で、その栄養の活かされ方が変わってきます。
種類で変わる!粒とひきわりの栄養バランス
納豆には「粒」と「ひきわり」があり、形の違いだけでなく栄養バランスにも特徴があります。
- ひきわり納豆:細かく刻まれて発酵面が広く、ビタミンKの量が多いのが特徴。骨づくりや血液凝固に関わるビタミンKを効率よくとりたい人におすすめです。
- 粒納豆:皮が残っているため、食物繊維・鉄・マグネシウムなどのミネラルを多く含みます。便秘改善や貧血対策に向いています。
食べる目的に合わせて種類を使い分けることで、納豆の健康効果をさらに引き出せます。
吸収を高める「油」と「ねぎ」の組み合わせ
ビタミンKは油と一緒にとる
ビタミンKは脂溶性ビタミンのため、油と一緒にとると吸収率が高まります。
ごま油やオリーブオイルを少量かけるだけでも効果的。チャーハンや炒めものに混ぜても、栄養をしっかり取り入れられます。
ビタミンB1はアリシンと組み合わせる
ねぎ・玉ねぎ・にんにくに含まれるアリシンは、ビタミンB1の吸収をサポートします。
糖質の多い食事や疲れやすいときには、納豆+ねぎの組み合わせが理想的です。
日常に取り入れやすいアレンジと食べ方の工夫
納豆はそのままでも栄養豊富ですが、少しの工夫で味わいも栄養もアップします。
- 香ばしく炒める:ひきわり納豆を油で軽く炒めてチャーハンや野菜炒めに。油との相性で吸収率がアップします。
- カルシウムと合わせる:粉チーズをトッピングすれば、ビタミンKとカルシウムのW効果で骨をサポート。
- たんぱく質をプラス:ツナや卵を加えると、よりバランスのとれたたんぱく質源に。
さらに「食べる直前にしっかり混ぜる」こともポイント。粘り成分のポリグルタミン酸が増え、うま味とコクが深まります。目安は30回以上。空気を含ませるように混ぜましょう。
保存・調理で気をつけたいポイント
- 納豆は冷蔵保存が基本。すぐ食べきれない場合は冷凍保存も可能です。使うときは自然解凍してから混ぜましょう。
- 開封時にアンモニア臭が強いときは、風味が落ちているサイン。炒めものなどの加熱料理に回すのがおすすめです。
- 血液をサラサラにする薬(ワーファリンなど)を服用している方は、ビタミンKの摂取量に注意が必要。医師に相談のうえ食べ方を調整しましょう。
毎日の納豆をもっと健康的に
納豆は、組み合わせ次第で“健康サポート食”に変わる万能食材です。
種類の選び方、油やねぎとの組み合わせ、混ぜ方や調理法を意識するだけで、栄養の吸収率もぐっと高まります。
手軽に食べられる納豆だからこそ、「どう食べるか」を意識してみましょう。
毎日の一パックが、あなたの体を支える力になります。
※参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
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この記事の監修者
管理栄養士・料理家
ひろのさおり
お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。