2025.10.13
ダイエット中こそ気をつけたい!人工甘味料の意外な落とし穴と、賢い付き合い方
栄養の基本
食品表示と制度の話
ダイエット中でも甘いものを我慢したくない—そんな時に便利なゼロカロリー飲料や低糖質スイーツ。けれど実は、人工甘味料の摂り方次第で食欲が増えたり、代謝が落ちたりすることがあります。
この記事では、人工甘味料が体にどう影響するのかを科学的に解説し、“完全に避ける”のではなく、“上手に付き合う”ための実践的な工夫を紹介します。
読むほどに、甘さとの健やかな距離の取り方が見えてくるはずです。
人工甘味料はなぜ広く使われているのか?
人工甘味料(アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなど)は、砂糖の数十〜数百倍の甘さを持ちながらカロリーをほとんど含まない成分です。
血糖値への影響も少なく、ダイエット商品や糖質オフ飲料の多くに使用されています。
しかし、強烈な甘味が味覚に与える影響や、腸内環境の変化など、知られざるリスクも明らかになってきました。
ダイエットに逆効果となる4つの理由
1. 甘味と血糖値のミスマッチで食欲が増える
甘さを感じても血糖値が上がらないと、脳は「まだエネルギー不足」と判断。その結果、余計な空腹感や間食欲求を引き起こすことがあります。
2. 舌の甘味センサーが“麻痺”する
スクラロースは砂糖の約600倍の甘さ。こうした強烈な刺激に慣れると、自然な甘味では物足りなくなり、甘い食品の摂取量が増えがちです。
3. 腸内フローラの乱れで代謝力が落ちる
Nature誌の研究では、人工甘味料の摂取によって腸内細菌バランスが変化し、糖の代謝機能が低下する可能性が示されています(※1)
腸は栄養吸収だけでなく食欲調整にも関わるため、変化が長期的な体重管理に影響します。
(※1)人工甘味料の摂取が腸内細菌叢と糖代謝に及ぼす影響:Nature, 2022(Suezら)
4. 「ゼロ表示」に隠れたカロリー
日本では100mlあたり5kcal未満なら“ゼロ”と表示可能。500ml飲料でも20kcal程度含まれることがあり、安心感から他の食事量が増えてしまうこともあります。
甘さとの付き合い方|今日から始める&長く続けるための工夫
人工甘味料の影響を抑えるには、毎日の選び方と長期的な意識の両方が必要です。
まずは始めやすい習慣から取り入れ、少しずつ“甘さに頼らない食生活”へ移行していきましょう。
今日からできる工夫
- 炭酸水にレモンやベリーをプラス…甘味飲料の代わりに、香りと酸味で満足感を高める
- 週1〜2回は「甘味オフデー」…甘味料や砂糖を控え、舌の感覚をリセットする
- デザートは旬の果物や甘酒に置き換え…自然な甘さと栄養を一緒に摂る
- 高たんぱく+食物繊維を意識した食事…血糖値の乱高下を防ぎ、甘いもの欲を抑える
- 買う前にパッケージの成分表示をチェック…人工甘味料の種類や含有量を確認する習慣をつける
長期的に続けるコツ
- 酸味・苦味・旨味を意識的に取り入れる…甘味に偏らない味覚を育て、依存を防ぐ
- 「ゼロ」ではなく「甘さ控えめ」を基準にする…完全排除ではなく減らす方向で無理なく続ける
- 人工甘味料の摂取量を“見える化”…飲んだ本数や食べた回数をメモして、自分の傾向を把握
- 健康データを定期的に確認…血糖値・体重・体脂肪率・お通じなどをチェックし、変化を早めに察知
甘さとの距離感を変えればダイエットは変わる
人工甘味料はカロリーゼロでも、食欲増加・味覚変化・腸内環境の乱れなどでダイエットを遠回りさせることがあります。
「ゼロだから安心」ではなく、甘さそのものを減らす意識が、長期的な健康と体重維持につながります。
まずは今週、1日だけでも“人工甘味料オフ”に挑戦してみませんか?
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この記事の監修者
管理栄養士・料理家
ひろのさおり
お茶の水女子大学大学院在学中、フリーランスとして管理栄養士のキャリアをスタート。レシピ開発や執筆業、出張料理サービスに携わり、特定保健指導、セミナー・料理教室講師としても活動を広げる。現在は株式会社セイボリーの代表を務め、レシピ開発・料理撮影や、調理器具や食品の監修・販促サポートなどの事業を営む。テレビ出演などのメディア実績も多数。著書に「小鍋のレシピ 最新版」(辰巳出版)。