
2025.08.11
「蒸しゆで」が正解!ブロッコリーの栄養を逃さない調理法とは?
調理の保存とコツ

ブロッコリーは栄養たっぷりの優秀野菜。でも、「ゆでると栄養が逃げそう…」「水っぽくて苦手」という声もよく聞きます。
実は、いつもの“ゆでる”を“蒸しゆで”に変えるだけで、栄養価もおいしさもぐっとアップ。今回は、管理栄養士の視点から、ブロッコリーを一番美味しく・効率よく食べる方法をお届けします。
なぜ水っぽくなる?栄養が逃げる理由
ブロッコリーのビタミンCや葉酸、カリウムは、水に溶けやすい「水溶性」。たっぷりのお湯でゆでると、せっかくの栄養がゆで汁に流れ出してしまいます。
さらに、長く加熱すると食感がやわらかくなりすぎて、味もぼやけがち。これが「なんだかおいしくない」「水っぽくて苦手」と感じる原因になっているのです。
栄養価を守るポイントは、加熱方法と水分量
ブロッコリーの栄養を効率よく摂るには、「短時間」「少量の水分」での加熱がカギ。
なかでもおすすめなのが、「蒸しゆで」という調理法です。これは鍋にごく少量の水を入れ、ふたをして蒸気で火を通す方法。ゆでるよりも栄養の流出を防ぎつつ、時短や節約にもつながります。
ブロッコリーを最大限に活かす“蒸しゆで”の実力とは?
栄養もおいしさも逃さずに調理できる「蒸しゆで」。
ゆで方を変えるだけで、ブロッコリーの魅力をしっかり引き出せます。
- ビタミンCの保持率は約80%
ブロッコリーのビタミンCは水に溶けやすく、ゆでると約半分まで減少します。
一方で、蒸しゆでや電子レンジ加熱など、水をほとんど使わない調理法では約8割が保持されると報告されています。
(参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」) - 見た目も味もぐっと良くなる
蒸気でふっくら仕上がるため、色が鮮やかで水っぽさもなし。ブロッコリー本来の甘みが引き立ちます。 - 抗酸化成分スルフォラファンをキープ
ブロッコリーの注目成分「スルフォラファン」は、加熱や水分で失われやすいため、蒸すのが最適。 - 加熱ムラがなく、光熱費も削減できる
少量の水で加熱時間も短縮でき、忙しい日にもぴったりです。
実践しよう!蒸しゆでの手順とアレンジの工夫
蒸しゆでブロッコリーは、下処理さえ整えば“万能の素”。副菜にもメインにもなりますよ。ここではやり方 → 仕上げ方 → 保存 → 味つけ設計 → すぐ作れるアレンジの順でまとめます。
蒸しゆでの手順
①切り分ける
小房はできるだけ同じ大きさに。茎は厚めに皮をむき薄切りにして一緒に使うと、食感のコントラストが出ます。
②少量の水+ふたで加熱
鍋に水50mLとブロッコリーを入れ、ふたをして中火3〜4分。蒸気で全体に熱が回るので、お湯に浸さず栄養の流出を抑えられるのがポイント。
②少量の水+ふたで加熱
竹串がスッと通る、色が鮮やかな緑で香りが立てばOK。ザルに上げて自然に冷ます(流水は水っぽさと風味の流出につながるのでNG)。
おいしさを底上げする“仕上げ1分”
加熱直後は芯に向かって余熱が進む時間。ここで塩ひとつまみを全体にふり、ふたをずらして1分蒸らすと、塩が均一に入り、味がぼやけません。
仕上げにオリーブオイルを少量絡めると、表面に薄い膜ができて水っぽさの印象を抑えつつ香りが立つのも利点。レモン汁などの酸は仕上げに。調理中に加えると酸で色が鈍りやすいからです。
冷蔵・冷凍の扱い方
粗熱を取り、キッチンペーパーを敷いた保存容器に入れて冷蔵で2〜3日。余分な水分を吸わせることで日持ちと食感が安定します。
冷凍は水気をよく拭き、1回分ずつ小分けにして薄く平らに。薄いほど急速に凍って解凍後の離水が少ないです。使うときは電子レンジで短時間、またはフライパンでさっと蒸し戻しを。
味つけの考え方(“油+酸味+塩”のシンプル設計)
ブロッコリーはビタミンKなど脂溶性成分の吸収が油で高まりやすい食材。基本は
油1:酸味0.5:塩少々(例:オリーブオイル小さじ2、レモン汁小さじ1、塩ひとつまみ)。
ナッツやチーズを足すとコクと満足感が増し、脂質と一緒に摂ることで吸収効率も底上げできます。
管理栄養士おすすめ!手軽なアレンジ3例
- アンチョビ・ガーリック
オリーブオイル大さじ1/2でにんにく(みじん少々)とアンチョビ(1枚)を温め、蒸しブロッコリー1/2株分を和える。仕上げにレモン少々。香りの油で満足度UP。 - カレーヨーグルト和え
プレーンヨーグルト大さじ2、カレー粉小さじ1/3、レモン汁小さじ1/2、塩少々。乳酸の酸味が後味を軽くし、スパイスで食べ飽きない◎ - こんがりチーズトースト
耐熱容器にブロッコリー、ピザ用チーズ適量、好みでパン粉小さじ1。トースターで表面が色づくまで焼いて。脂質と熱で香りが立ち、冷凍戻しでも美味しい。
買い方・保存方法で、鮮度と栄養をキープ
おいしさと栄養を保つには、「買うとき」と「保存するとき」の工夫も大切。
選び方や保管のポイントを押さえて、ムダなく使い切りましょう。
- 選び方:つぼみが密で色が濃く、切り口がみずみずしいものを選びましょう
- 保存法:湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて野菜室へ。縦に保存すると鮮度が長持ちします
- 冷凍活用:買った日に蒸しゆで→冷凍保存すると、ロスなく便利に使えます
ブロッコリーの魅力を“蒸しゆで”でまるごと味わおう
調理のちょっとした工夫で、ブロッコリーの栄養もおいしさもぐんとアップします。「蒸しゆで」は、栄養を守るだけでなく、時短・節約・作り置きにもなる万能調理法。
毎日の食卓にもっとブロッコリーを取り入れて、健やかな食生活を楽しんでみませんか?